コンクリートの品質管理|スランプ・空気量・圧縮強度を解説【コンクリート工⑥】

コンクリートの品質管理で行うスランプ・空気量・圧縮強度試験のアイキャッチ コンクリート工

コンクリートの品質は、工場で決めた配合だけでは保証できません。運搬中の時間経過、気温、施工方法、試料の採り方などによって、現場に到着した時点の状態は変わります。そのため受入れ時には、納入書を確認したうえで、スランプ・空気量・コンクリート温度などを測定し、硬化後は圧縮強度を確認します。

この記事の要点

スランプ=変形しやすさ、空気量=内部の空気泡、圧縮強度=硬化後の耐える力です。試験名と目的を結び付け、受入れから強度確認までを一つの流れとして理解しましょう。

この記事で学べること

  • 品質管理を行う理由と確認項目
  • スランプ試験・空気量試験・圧縮強度試験の違い
  • 試料採取から供試体作製までの流れ
  • 規格外や異常値が出たときの基本対応
  • 1級土木施工管理技士で問われやすいポイント

コンクリートの品質管理とは

品質管理の目的は、構造物が設計で求められた強度・耐久性・施工性を満たすように、材料から施工、養生、試験結果までを継続して確認することです。受入れ試験だけで品質が決まるわけではなく、打込み・締固め・養生まで適切に行って初めて、必要な性能が得られます。

レディーミクストコンクリートでは、発注時に呼び強度、スランプまたはスランプフロー、粗骨材の最大寸法、セメントの種類などを指定します。現場では納入書と発注内容を照合し、目視で材料分離や異常がないかを確認してから、必要な試験を実施します。

確認項目 対象 主に分かること 確認時期
納入書 配合・出荷情報 指定したコンクリートか 受入れ時
スランプ フレッシュコンクリート 変形・流動しやすさ 受入れ時
空気量 フレッシュコンクリート 含まれる空気の割合 受入れ時
温度 フレッシュコンクリート 施工・硬化への温度影響 受入れ時
塩化物量 フレッシュコンクリート 鋼材腐食のリスク 規定された頻度
圧縮強度 硬化コンクリート 所定材齢での強さ 供試体養生後

受入れから圧縮強度確認までの流れ

受入れから圧縮強度確認までの流れ
  1. 1納入書配合・時刻を照合
  2. 2外観確認分離・異常を確認
  3. 3試料採取代表試料を採る
  4. 4受入れ試験スランプ等を測定
  5. 5供試体作製・養生
  6. 6強度確認記録して判定

合格値は一律ではない

許容差、試験頻度、判定方法は、工事の仕様書、発注図書、適用するJISや施工管理基準で確認します。数字だけを暗記し、別の工種や仕様へそのまま当てはめないことが重要です。

スランプ試験|変形しやすさを確認する

スランプ試験は、フレッシュコンクリートのコンシステンシーを確認する代表的な試験です。スランプコーンへコンクリートを詰め、コーンを鉛直に引き上げたときの下がり量を測定します。一般に値が大きいほど変形しやすくなりますが、スランプ値だけでワーカビリティーのすべてを評価できるわけではありません。

試験の基本手順

  1. 器具を安定した水平面に置く
  2. 採取した試料を所定の方法でコーンへ詰める
  3. 各層を均等に突き、上面をならす
  4. コーンを鉛直に静かに引き上げる
  5. 試料の下がりを測定し、崩れ方も観察する

指定範囲

施工条件に適した状態かを確認する

範囲外

硬過ぎ・軟らか過ぎの原因を確認する

硬過ぎるコンクリートは鉄筋周辺や型枠の隅へ行き渡りにくく、締固め不足による豆板・ジャンカの原因になります。一方、軟らか過ぎる場合は、材料分離やブリーディングが起こりやすくなります。現場で施工しやすくする目的で勝手に加水すると、水セメント比が変わり、強度や耐久性を損なうため認められません。

試験で狙われる誤解

スランプ試験は圧縮強度を直接測る試験ではありません。また「スランプが大きい=高品質」でもありません。施工条件に合った範囲で安定していることが重要です。

空気量試験|微細な空気泡の量を確認する

コンクリートには、締固め後にも残る比較的大きな気泡と、AE剤などで意図的に連行する微細な独立気泡があります。空気量試験では、フレッシュコンクリートに含まれる空気の割合を測定します。代表的な方法の一つが圧力法です。

施工性

微細な気泡がボールベアリングのように働き、ワーカビリティーを改善します。

耐凍害性

水の凍結による膨張圧を逃がす空間となり、凍結融解への抵抗性を高めます。

強度との関係

空気量が過大になると、一般に圧縮強度は低下する傾向があります。

測定時の注意点

  • 容器へ均等に試料を詰め、所定の方法で締め固める
  • 容器の縁やふたの接触面を清掃し、空気漏れを防ぐ
  • 圧力を安定させてから指示値を読む
  • 骨材修正係数が必要な場合は補正する
  • 測定結果だけでなく試料採取時刻や温度も記録する

空気量は「多いほど耐凍害性が高くなる」と単純に判断できません。過大な空気は強度低下につながり、少な過ぎれば所要の耐凍害性や施工性を得にくくなります。配合と仕様に応じた範囲へ管理します。

コンクリート温度|施工条件を判断する重要項目

コンクリート温度は、凝結時間、スランプの変化、強度発現、ひび割れリスクなどに関係します。高温時はスランプロスや急速な乾燥が進みやすく、低温時は強度発現が遅れ、初期凍害への注意が必要です。

温度計は試料へ十分に挿入し、外気や容器の影響を受けにくい状態で指示値が安定してから読みます。暑中・寒中コンクリートでは、運搬時間、打込み時間、養生方法と合わせて管理することが大切です。

圧縮強度試験|硬化後の耐える力を確認する

圧縮強度試験は、採取したコンクリートから円柱供試体などを作製し、所定の材齢まで養生したあと、圧縮試験機で破壊するまで荷重を加えて強度を求める試験です。圧縮強度は、最大荷重を供試体の断面積で除して求めます。

圧縮強度の求め方

圧縮強度 = 最大荷重 ÷ 供試体の断面積

供試体作製で結果が変わる理由

同じコンクリートでも、試料採取、型への詰め方、締固め、上面処理、脱型、運搬、養生が不適切だと、実際の品質を正しく表さない結果になります。供試体には採取日、採取場所、車両、材齢などを識別できる表示を行い、取り違えを防ぎます。

管理段階 主な注意点 不適切な場合の影響
試料採取 代表性を確保する 一部の偏った品質を測る
型詰め・締固め 空隙や材料分離を防ぐ 強度が不当に低くなる
上面処理 載荷面を平滑にする 荷重が偏る
識別・運搬 取り違えや衝撃を防ぐ 記録との対応が崩れる
養生 所定の温度・湿潤状態を保つ 強度発現に影響する

構造体の強度との違い

供試体の圧縮強度は品質を判定する重要な指標ですが、実際の構造体は打込み・締固め・養生条件の影響も受けます。「供試体が合格したから施工管理は不要」ということではありません。

試験結果が規格外だったときの基本対応

規格外の値が出たときは、現場判断で数値を書き換えたり、そのまま使用したりしてはいけません。まず試験方法・器具・試料に誤りがないか確認し、監督職員や責任者、生コン工場へ速やかに連絡します。

① 使用を止める

判定が済むまで対象コンクリートの使用を保留します。

② 試験を確認

採取方法、器具、手順、計算、記録に誤りがないか確認します。

③ 関係者へ報告

数値と状況を正確に伝え、仕様書に基づく判断を受けます。

④ 記録を残す

車両、時刻、試験値、対応、判断者を記録します。

再試験の可否、返却、使用箇所の限定、追加調査などは、適用基準と責任者の指示に従います。規格外だからといって、その場で水や混和剤を加えて調整することはできません。

品質管理記録に残したい項目

  • 工事名、構造物名、打込み箇所
  • 試料採取日時、天候、外気温
  • 生コン工場名、運搬車番号、納入書番号
  • 練混ぜ開始時刻、到着・荷卸し時刻
  • 呼び強度、スランプ、粗骨材最大寸法、セメント種類
  • スランプ、空気量、温度、塩化物量などの試験値
  • 供試体番号、材齢、養生方法、圧縮強度
  • 規格外や異常があった場合の連絡・処置内容

記録は、後から「どのコンクリートを、いつ、どこへ、どのような状態で使用したか」を追跡するためのものです。試験値だけでなく、採取位置や時刻、対象車両を結び付けて残します。

試験で混同しやすいポイント

誤りやすい表現 正しい整理
スランプが大きいほど強度が高い スランプはコンシステンシーを表し、強度を直接示さない
空気量は多いほどよい 適量が重要。過大になると強度が低下しやすい
供試体は現場のどこから採ってもよい 代表性を確保できる定められた方法で採取する
圧縮強度だけ合格すればよい 施工性、耐久性、塩化物量、温度、施工・養生も管理する
規格外なら現場で加水して調整する 使用を保留し、関係者へ報告して基準に従う

関連する過去問2問|品質管理を確認

1級土木施工管理技士の過去問題を、学習用として読みやすく再構成しています。

過去問 1/2|令和6年度 施工管理法 問16

レディーミクストコンクリートの受入れ検査

JIS A 5308に準拠した受入れ検査に関する記述として、適当なものはどれでしょうか。

  1. スランプ12.0cmの指定に対し14.5cmであったため、合格とした。
  2. 空気量4.5%の指定に対し6.5%であったため、合格とした。
  3. 塩化物イオン量1.2kg/m³であったため、合格とした。
  4. アルカリ総量4.0kg/m³であったため、合格とした。
解答と解説を開く

解答:1

指定スランプ12.0cmの許容差は±2.5cmであり、14.5cmは許容範囲内です。空気量4.5%の許容差は±1.5%、塩化物イオン量は原則0.30kg/m³以下、アルカリ総量は3.0kg/m³以下として整理します。

過去問 2/2|令和3年度 施工管理法 問77

コンクリートの品質管理

コンクリートの品質管理に関する記述として、適当でないものはどれでしょうか。

  1. 荷卸し時や打込み前に、状態に異常がないか目視で確認する。
  2. スランプ試験は規定の頻度に加え、荷卸し時に品質変化が認められた場合にも行う。
  3. 圧縮強度は、1回の試験結果が呼び強度の80%以上、かつ3回の平均が呼び強度以上であることを確認する。
  4. 単位水量の試験方法には、加熱乾燥法やエアメータ法がある。
解答と解説を開く

解答:3

1回の圧縮強度試験結果は、指定した呼び強度の85%以上であることを確認します。3回の試験結果の平均値は、指定した呼び強度以上であることが必要です。

まとめ|試験名・目的・対応をセットで覚える

試験前に覚える5点

  • スランプ:フレッシュコンクリートの変形・流動しやすさを確認
  • 空気量:施工性と耐凍害性に関係する空気泡の量を確認
  • コンクリート温度:凝結・強度発現・ひび割れへの影響を確認
  • 圧縮強度:供試体を用いて硬化後の耐える力を確認
  • 規格外時:使用を保留し、確認・報告・記録を行う

品質管理は、試験器具の名前を覚えるだけの分野ではありません。「何のために測るのか」「異常値が何を意味するか」「結果を施工へどう反映するか」まで理解すると、試験問題にも現場にも強くなります。

参考資料

タイトルとURLをコピーしました