「スランプが大きいほど、良いコンクリート?」「ブリーディングと材料分離は、何が違う?」
フレッシュコンクリートは、練混ぜが終わってから凝結・硬化するまでの、まだ固まらないコンクリートです。
学習するときは、「施工しやすさ」「試験で確認する値」「品質を損なう現象」を分けて整理しましょう。
この記事では、ワーカビリティー、スランプ、空気量、ブリーディング、レイタンス、材料分離を解説します。最後に、実際に出題された過去問題3問の要点と解説で理解を確認できます。
この記事で整理すること
- ワーカビリティーとコンシステンシーの違い
- スランプ試験と空気量の意味
- ブリーディング・レイタンス・材料分離
- 材料分離を防ぐ運搬・打込み方法
フレッシュコンクリートとは|まだ固まらない状態
フレッシュコンクリートには、運びやすく、型枠の隅々まで充填でき、締め固めやすいことが求められます。同時に、運搬・打込み・締固めの途中で、粗骨材とモルタルが分かれないことも重要です。
単に軟らかければ施工しやすいとは限りません。構造物の形状、鉄筋の間隔、運搬方法、締固め方法などに適した性質を持ち、作業中に均質性を保てることが大切です。
覚え方の基本
施工のしやすさ → スランプ・空気量で確認 → ブリーディングと材料分離を防ぐ、という順番で整理しましょう。
フレッシュコンクリートの性質|早見表
最初に、この記事で扱う用語の全体像を確認します。表が画面に収まらない場合は、横にスクロールできます。
| 用語 | 意味 | 主な確認方法・注意点 |
|---|---|---|
| ワーカビリティー | 材料分離を起こさずに、運搬・打込み・締固め・仕上げができる性質 | 目視や施工状況を含めて総合的に判断 |
| コンシステンシー | 変形や流動に対する抵抗の程度 | 一般的なコンクリートではスランプ試験で確認 |
| プラスティシティー | 材料分離を起こさず、形を変えられる性質 | 粘りと分離抵抗性に関係 |
| フィニッシャビリティー | 仕上げ作業のしやすさ | 粗骨材量や細骨材量などの影響を受ける |
| ブリーディング | 練混ぜ水の一部が上昇する現象 | 過多になると沈下や弱い層の原因になる |
| 材料分離 | 構成材料の分布が不均一になる現象 | 横流し、過大な落下、過振動などを避ける |
ワーカビリティー|施工全体のしやすさ
ワーカビリティーは、運搬、打込み、締固め、仕上げといった一連の作業を、材料分離を起こさずに行える性質です。構造物や施工条件によって必要な程度が変わるため、単一の数値だけでは決まりません。
鉄筋が密な場所では充填しやすさが必要です。一方、必要以上に流動性を高めると、配合や施工条件によっては材料分離の危険が高まります。
コンシステンシーとの違い
コンシステンシーは、フレッシュコンクリートの変形または流動に対する抵抗の程度です。スランプは、このコンシステンシーを表す代表的な指標です。
間違えやすい点
スランプ試験だけでワーカビリティーのすべてを判定するわけではありません。材料分離の状態や施工条件も含めて判断します。
スランプ試験|軟らかさの程度を確認する
スランプ試験では、高さ30cmのスランプコーンへフレッシュコンクリートを詰め、コーンを鉛直に引き上げます。コンクリートが下がった高さを測り、スランプとして表します。

一般には、スランプが大きいほど流動しやすく、小さいほど変形しにくい状態です。ただし、スランプが大きいほど高品質という意味ではありません。指定された値を満足し、材料分離を起こさず施工できることが重要です。
試験中は形も観察する
測定値だけでなく、コーンを引き上げた後のコンクリートの崩れ方、粗骨材の偏り、水のにじみなども確認します。流動性を高めたコンクリートでは、スランプ試験中の試料形状とブリーディング試験によって分離抵抗性を確認する場合があります。
空気量|ワーカビリティーと耐凍害性に関係する
AE剤などによってコンクリート中へ微細な独立気泡を連行すると、ワーカビリティーを改善し、凍結融解に対する抵抗性を高める効果が期待できます。
一方、空気量が過大になると、一般に圧縮強度が低下する傾向があります。受入れ時には、配合で指定された空気量の範囲を満足しているか確認します。
ブリーディングとレイタンス|水と微粒分の移動
ブリーディングは、打ち込んだコンクリート中の固体材料が沈み、練混ぜ水の一部が上面へ上昇する現象です。ブリーディングが多いと、鉄筋や粗骨材の下面に水がたまり、沈下ひび割れや付着低下につながるおそれがあります。
上昇した水に伴って微細な粒子が表面へ集まり、弱い層をつくったものがレイタンスです。打継目では、レイタンスや品質の低い表層部を取り除き、健全なコンクリートを露出させてから次のコンクリートを打ち込みます。
| 用語 | 現象 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| ブリーディング | 練混ぜ水の一部が上昇する | 表面水を除去し、沈下や付着への影響を抑える |
| レイタンス | 微粒分が表面へ集まり、弱い層をつくる | 打継目では除去してから次層を打ち込む |
材料分離|粗骨材とモルタルの偏りを防ぐ
材料分離は、セメントペースト、細骨材、粗骨材、水などの分布が不均一になる現象です。分離したまま硬化すると、強度、耐久性、水密性、外観などに悪影響を及ぼします。
配合だけでなく、運搬、荷卸し、打込み、締固めの方法によっても発生します。
| 主な原因 | 起こりやすいこと | 基本的な対策 |
|---|---|---|
| 型枠内での横流し | 粗骨材とモルタルが分かれる | 打込み位置へ直接コンクリートを届ける |
| 過大な自由落下 | 落下中や衝突時に材料が分かれる | シュートやポンプ吐出口を打込み面へ近づける |
| 長時間・不適切な運搬 | スランプ低下や均質性の低下 | 運搬計画を立て、速やかに運ぶ |
| 過度の締固め | 粗骨材の沈降やペーストの上昇 | 適切な間隔と時間で締め固める |
| 現場での安易な加水 | 水セメント比や品質が変わる | 現場判断で水を加えない |
材料分離を防ぐ打込み|横流しをしない

打ち込んだコンクリートを、棒状バイブレータなどで遠くまで横移動させてはいけません。粗骨材だけが残る場所やモルタルが集まる場所が生じ、均質な構造物にならないおそれがあります。
現場経験から伝えたいこと
材料分離を起こさないため、コンクリートは横流しせずに打ち込みます。
打込み位置や現場条件に合わせて、シュートやポンプホースなどの道具を適切に使い、目的の場所へ直接コンクリートを届けることが大切です。
シュート・ホースを適切に使う
型枠が高い場合は、投入口を設けるか、縦シュートやポンプ配管の吐出口を打込み面近くまで下げます。国土交通省の土木工事共通仕様書では、吐出口から打込み面までの自由落下高さを1.5m以下としています。
一つの位置から無理に流すのではなく、打込みの進行に合わせて吐出口を移動します。道具は置くだけではなく、材料分離を防ぐ目的に合わせて使うことが重要です。
バイブレータは横移動に使わない
棒状バイブレータは、コンクリートを締め固め、型枠や鉄筋の周囲へ充填するための道具です。コンクリートを横へ運ぶためには使いません。挿入間隔、挿入深さ、締固め時間を適切にし、過度な振動も避けます。
受入れ時の確認|数値と状態を見る
レディーミクストコンクリートの受入れでは、納入書と配合を確認し、必要に応じてスランプ、空気量、コンクリート温度、塩化物含有量、圧縮強度用供試体などを確認します。
試験値が規格を満足していても、材料分離、異常な水のにじみ、粗骨材の偏りなどがないか目視で確認します。数字と実際の状態の両方を見ることが大切です。
試験で間違えやすい組合せ
| 確認したいこと | 対応する用語・方法 |
|---|---|
| 変形・流動に対する抵抗 | コンシステンシー |
| 運搬から仕上げまでの施工のしやすさ | ワーカビリティー |
| 一般的なコンクリートの軟らかさ | スランプ試験 |
| 水の一部が上面へ上がる現象 | ブリーディング |
| 表面にできる微粒分の弱い層 | レイタンス |
| 粗骨材とモルタルなどの偏り | 材料分離 |
| 横流しを避ける方法 | 打込み位置へシュート・ホースを移動する |
過去問3問で確認|性質と施工を結び付ける
以下は、1級土木施工管理技術検定で実際に出題された問題から、設問の一部を短く抜粋し、選択肢の内容を学習用に要約したものです。
最初に自分で答えを考え、その後に「解答と解説」を開いてください。
平成27年度・問題A No.8|材料分離抵抗性
過去問題からの抜粋
「コンクリートに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。」
- 透水係数は、水セメント比が増えると著しく増加する。
- 材料分離抵抗性は、単位粉体量や細骨材率の適切な設定で確保する。
- 表面からの蒸発がブリーディング水の上昇より速いと、プラスティック収縮ひび割れが生じやすい。
- 暑中コンクリートでは、一般に促進形の混和剤を使用する。
解答と解説を開く
正解は4です。暑中では凝結が早まりやすいため、一般には遅延形の混和剤を使用します。材料分離抵抗性は、粉体量や細骨材率とも関係します。
平成28年度・問題A No.8|コンクリートの打込み
過去問題からの抜粋
「コンクリートの打込みに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。」
- 柱とスラブのコンクリートは、沈みひび割れ防止のため連続して打ち込む。
- 横移動を避け、目的の位置へコンクリートを下ろす。
- 高さのある型枠では、落下高さを小さくして材料分離を防ぐ。
- 複数層では、下層が固まり始める前に上層を打ち込む。
解答と解説を開く
正解は1です。柱や壁とスラブが連続する場合は、沈下が落ち着く時間を設けてから上部を打ち込み、沈みひび割れを防ぎます。2はKaiさんが重視する「横流しをしない」という基本です。
令和5年度・問題A No.10|締固めと横移動
過去問題からの抜粋
「コンクリートの打込み及び締固めに関する記述」について、正誤を考えます。
型枠内のコンクリートを、棒状バイブレータで横移動させながら充填する。
解答と解説を開く
誤りです。棒状バイブレータは締固めに使い、コンクリートの横移動には使用しません。横流しは材料分離を起こす原因になります。
まとめ|品質は打込み方でも変わる
フレッシュコンクリートの重要な組合せを確認しましょう。
- ワーカビリティー:材料分離を起こさず施工できる性質
- コンシステンシー:変形・流動に対する抵抗の程度
- スランプ:コンシステンシーを表す代表的な指標
- ブリーディング:練混ぜ水の一部が上昇する現象
- レイタンス:表面に集まった微粒分による弱い層
- 材料分離対策:横流しを避け、打込み位置へ直接届ける
良いコンクリートをつくるには、配合だけでなく、材料分離を起こさない打込み方が大切です。横流しを避け、シュートやホースを適切に使い、打込み位置へ確実にコンクリートを届けましょう。


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