フレッシュコンクリートの性質|スランプ・空気量・ブリーディング・材料分離を解説【コンクリート工②】

「スランプが大きいほど、良いコンクリート?」「ブリーディングと材料分離は、何が違う?」

フレッシュコンクリートは、練混ぜが終わってから凝結・硬化するまでの、まだ固まらないコンクリートです。

学習するときは、「施工しやすさ」「試験で確認する値」「品質を損なう現象」を分けて整理しましょう。

この記事では、ワーカビリティー、スランプ、空気量、ブリーディング、レイタンス、材料分離を解説します。最後に、実際に出題された過去問題3問の要点と解説で理解を確認できます。

この記事で整理すること

  • ワーカビリティーとコンシステンシーの違い
  • スランプ試験と空気量の意味
  • ブリーディング・レイタンス・材料分離
  • 材料分離を防ぐ運搬・打込み方法

フレッシュコンクリートとは|まだ固まらない状態

フレッシュコンクリートには、運びやすく、型枠の隅々まで充填でき、締め固めやすいことが求められます。同時に、運搬・打込み・締固めの途中で、粗骨材とモルタルが分かれないことも重要です。

単に軟らかければ施工しやすいとは限りません。構造物の形状、鉄筋の間隔、運搬方法、締固め方法などに適した性質を持ち、作業中に均質性を保てることが大切です。

覚え方の基本
施工のしやすさ → スランプ・空気量で確認 → ブリーディングと材料分離を防ぐ、という順番で整理しましょう。

フレッシュコンクリートの性質|早見表

最初に、この記事で扱う用語の全体像を確認します。表が画面に収まらない場合は、横にスクロールできます。

用語意味主な確認方法・注意点
ワーカビリティー材料分離を起こさずに、運搬・打込み・締固め・仕上げができる性質目視や施工状況を含めて総合的に判断
コンシステンシー変形や流動に対する抵抗の程度一般的なコンクリートではスランプ試験で確認
プラスティシティー材料分離を起こさず、形を変えられる性質粘りと分離抵抗性に関係
フィニッシャビリティー仕上げ作業のしやすさ粗骨材量や細骨材量などの影響を受ける
ブリーディング練混ぜ水の一部が上昇する現象過多になると沈下や弱い層の原因になる
材料分離構成材料の分布が不均一になる現象横流し、過大な落下、過振動などを避ける

ワーカビリティー|施工全体のしやすさ

ワーカビリティーは、運搬、打込み、締固め、仕上げといった一連の作業を、材料分離を起こさずに行える性質です。構造物や施工条件によって必要な程度が変わるため、単一の数値だけでは決まりません。

鉄筋が密な場所では充填しやすさが必要です。一方、必要以上に流動性を高めると、配合や施工条件によっては材料分離の危険が高まります。

コンシステンシーとの違い

コンシステンシーは、フレッシュコンクリートの変形または流動に対する抵抗の程度です。スランプは、このコンシステンシーを表す代表的な指標です。

間違えやすい点
スランプ試験だけでワーカビリティーのすべてを判定するわけではありません。材料分離の状態や施工条件も含めて判断します。

スランプ試験|軟らかさの程度を確認する

スランプ試験では、高さ30cmのスランプコーンへフレッシュコンクリートを詰め、コーンを鉛直に引き上げます。コンクリートが下がった高さを測り、スランプとして表します。

スランプコーンを引き上げ、コンクリートが下がった高さを測るスランプ試験の図
スランプ試験は、コーンを引き上げた後の下がりを測定する。

一般には、スランプが大きいほど流動しやすく、小さいほど変形しにくい状態です。ただし、スランプが大きいほど高品質という意味ではありません。指定された値を満足し、材料分離を起こさず施工できることが重要です。

試験中は形も観察する

測定値だけでなく、コーンを引き上げた後のコンクリートの崩れ方、粗骨材の偏り、水のにじみなども確認します。流動性を高めたコンクリートでは、スランプ試験中の試料形状とブリーディング試験によって分離抵抗性を確認する場合があります。

空気量|ワーカビリティーと耐凍害性に関係する

AE剤などによってコンクリート中へ微細な独立気泡を連行すると、ワーカビリティーを改善し、凍結融解に対する抵抗性を高める効果が期待できます。

一方、空気量が過大になると、一般に圧縮強度が低下する傾向があります。受入れ時には、配合で指定された空気量の範囲を満足しているか確認します。

ブリーディングとレイタンス|水と微粒分の移動

ブリーディングは、打ち込んだコンクリート中の固体材料が沈み、練混ぜ水の一部が上面へ上昇する現象です。ブリーディングが多いと、鉄筋や粗骨材の下面に水がたまり、沈下ひび割れや付着低下につながるおそれがあります。

上昇した水に伴って微細な粒子が表面へ集まり、弱い層をつくったものがレイタンスです。打継目では、レイタンスや品質の低い表層部を取り除き、健全なコンクリートを露出させてから次のコンクリートを打ち込みます。

用語現象主な注意点
ブリーディング練混ぜ水の一部が上昇する表面水を除去し、沈下や付着への影響を抑える
レイタンス微粒分が表面へ集まり、弱い層をつくる打継目では除去してから次層を打ち込む

材料分離|粗骨材とモルタルの偏りを防ぐ

材料分離は、セメントペースト、細骨材、粗骨材、水などの分布が不均一になる現象です。分離したまま硬化すると、強度、耐久性、水密性、外観などに悪影響を及ぼします。

配合だけでなく、運搬、荷卸し、打込み、締固めの方法によっても発生します。

主な原因起こりやすいこと基本的な対策
型枠内での横流し粗骨材とモルタルが分かれる打込み位置へ直接コンクリートを届ける
過大な自由落下落下中や衝突時に材料が分かれるシュートやポンプ吐出口を打込み面へ近づける
長時間・不適切な運搬スランプ低下や均質性の低下運搬計画を立て、速やかに運ぶ
過度の締固め粗骨材の沈降やペーストの上昇適切な間隔と時間で締め固める
現場での安易な加水水セメント比や品質が変わる現場判断で水を加えない

材料分離を防ぐ打込み|横流しをしない

コンクリートを横流しする悪い例と、シュートやホースで打込み位置へ直接届ける良い例の比較図
横流しを避け、シュートやホースの吐出口を打込み位置へ移動する。

打ち込んだコンクリートを、棒状バイブレータなどで遠くまで横移動させてはいけません。粗骨材だけが残る場所やモルタルが集まる場所が生じ、均質な構造物にならないおそれがあります。

現場経験から伝えたいこと

材料分離を起こさないため、コンクリートは横流しせずに打ち込みます。

打込み位置や現場条件に合わせて、シュートやポンプホースなどの道具を適切に使い、目的の場所へ直接コンクリートを届けることが大切です。

シュート・ホースを適切に使う

型枠が高い場合は、投入口を設けるか、縦シュートやポンプ配管の吐出口を打込み面近くまで下げます。国土交通省の土木工事共通仕様書では、吐出口から打込み面までの自由落下高さを1.5m以下としています。

一つの位置から無理に流すのではなく、打込みの進行に合わせて吐出口を移動します。道具は置くだけではなく、材料分離を防ぐ目的に合わせて使うことが重要です。

バイブレータは横移動に使わない

棒状バイブレータは、コンクリートを締め固め、型枠や鉄筋の周囲へ充填するための道具です。コンクリートを横へ運ぶためには使いません。挿入間隔、挿入深さ、締固め時間を適切にし、過度な振動も避けます。

受入れ時の確認|数値と状態を見る

レディーミクストコンクリートの受入れでは、納入書と配合を確認し、必要に応じてスランプ、空気量、コンクリート温度、塩化物含有量、圧縮強度用供試体などを確認します。

試験値が規格を満足していても、材料分離、異常な水のにじみ、粗骨材の偏りなどがないか目視で確認します。数字と実際の状態の両方を見ることが大切です。

試験で間違えやすい組合せ

確認したいこと対応する用語・方法
変形・流動に対する抵抗コンシステンシー
運搬から仕上げまでの施工のしやすさワーカビリティー
一般的なコンクリートの軟らかさスランプ試験
水の一部が上面へ上がる現象ブリーディング
表面にできる微粒分の弱い層レイタンス
粗骨材とモルタルなどの偏り材料分離
横流しを避ける方法打込み位置へシュート・ホースを移動する

過去問3問で確認|性質と施工を結び付ける

以下は、1級土木施工管理技術検定で実際に出題された問題から、設問の一部を短く抜粋し、選択肢の内容を学習用に要約したものです。

最初に自分で答えを考え、その後に「解答と解説」を開いてください。

平成27年度・問題A No.8|材料分離抵抗性

過去問題からの抜粋

「コンクリートに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。」

  1. 透水係数は、水セメント比が増えると著しく増加する。
  2. 材料分離抵抗性は、単位粉体量や細骨材率の適切な設定で確保する。
  3. 表面からの蒸発がブリーディング水の上昇より速いと、プラスティック収縮ひび割れが生じやすい。
  4. 暑中コンクリートでは、一般に促進形の混和剤を使用する。
解答と解説を開く

正解は4です。暑中では凝結が早まりやすいため、一般には遅延形の混和剤を使用します。材料分離抵抗性は、粉体量や細骨材率とも関係します。

平成28年度・問題A No.8|コンクリートの打込み

過去問題からの抜粋

「コンクリートの打込みに関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。」

  1. 柱とスラブのコンクリートは、沈みひび割れ防止のため連続して打ち込む。
  2. 横移動を避け、目的の位置へコンクリートを下ろす。
  3. 高さのある型枠では、落下高さを小さくして材料分離を防ぐ。
  4. 複数層では、下層が固まり始める前に上層を打ち込む。
解答と解説を開く

正解は1です。柱や壁とスラブが連続する場合は、沈下が落ち着く時間を設けてから上部を打ち込み、沈みひび割れを防ぎます。2はKaiさんが重視する「横流しをしない」という基本です。

令和5年度・問題A No.10|締固めと横移動

過去問題からの抜粋

「コンクリートの打込み及び締固めに関する記述」について、正誤を考えます。

型枠内のコンクリートを、棒状バイブレータで横移動させながら充填する。

解答と解説を開く

誤りです。棒状バイブレータは締固めに使い、コンクリートの横移動には使用しません。横流しは材料分離を起こす原因になります。

まとめ|品質は打込み方でも変わる

フレッシュコンクリートの重要な組合せを確認しましょう。

  • ワーカビリティー:材料分離を起こさず施工できる性質
  • コンシステンシー:変形・流動に対する抵抗の程度
  • スランプ:コンシステンシーを表す代表的な指標
  • ブリーディング:練混ぜ水の一部が上昇する現象
  • レイタンス:表面に集まった微粒分による弱い層
  • 材料分離対策:横流しを避け、打込み位置へ直接届ける

良いコンクリートをつくるには、配合だけでなく、材料分離を起こさない打込み方が大切です。横流しを避け、シュートやホースを適切に使い、打込み位置へ確実にコンクリートを届けましょう。

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