基礎工の種類|直接基礎・杭基礎・支持杭・摩擦杭を解説【基礎工①】

直接基礎と杭基礎の違いを解説する基礎工の記事 基礎工

「直接基礎と杭基礎は、どう使い分ける?」「支持杭と摩擦杭は、どこで荷重を支える?」

基礎工は、構造物の荷重を地盤へ安全に伝えるための工事です。種類や工法が多いため、名称だけを暗記すると混乱しやすくなります。

学習するときは、「どの深さで支えるか」「何の抵抗で支えるか」「現場でどのようにつくるか」を分けて整理しましょう。

この記事では、直接基礎と杭基礎、支持杭と摩擦杭、既製杭と場所打ち杭の違いを紹介します。最後に、実際に出題された過去問題3問の要点と解説で理解を確認できます。

この記事で整理すること

  • 直接基礎と杭基礎の違い
  • 支持杭と摩擦杭の支持機構
  • 既製杭と場所打ち杭の工法
  • 施工管理で確認するポイント

基礎工とは|構造物の荷重を地盤へ伝える

橋台、橋脚、擁壁などの構造物は、そのまま地面へ置くだけでは沈下や傾斜を起こすおそれがあります。基礎は、構造物から受ける鉛直力や水平力などを地盤へ伝え、構造物を安定させる役割を持ちます。

基礎形式は、大きく直接基礎深い基礎に分けられます。この記事では、深い基礎の代表として杭基礎を扱います。

覚え方の基本
直接基礎 → 杭基礎 → 支持機構 → 施工方法、という順番で整理しましょう。

直接基礎と杭基礎|違いを比較

比較項目直接基礎杭基礎
荷重の伝え方基礎底面から浅い地盤へ伝える杭先端や杭周面を通して深い地盤へ伝える
適する地盤比較的浅い位置に十分な支持力を持つ地盤がある表層が軟弱で、支持できる地盤が深い位置にある
主な形式独立フーチング、連続フーチング、べた基礎など既製杭、場所打ち杭など
主な確認事項支持力、沈下、滑動、転倒、地盤反力など支持力、沈下、杭体応力、杭頭部、群杭の影響など
施工上の特徴掘削、床付け、基礎地盤の確認が重要杭の位置・鉛直性、支持層、施工記録などが重要

判断の基本:「浅い場所で支えられるか」「深い場所まで荷重を伝える必要があるか」を考えると、二つの違いを整理しやすくなります。

直接基礎|浅い地盤で支える

直接基礎は、基礎底面から地盤へ直接荷重を伝える形式です。支持力だけでなく、構造物に有害な沈下や傾斜が生じないかも検討します。

床付け面を乱さない

直接基礎では、所定の深さまで掘削した床付け面の状態が重要です。過掘り、湧水、降雨、重機の走行などで地盤を乱すと、設計で想定した支持力を得られないおそれがあります。

掘削後は、土質、支持層の高さ、平坦性、湧水の状態などを確認し、必要に応じて排水や地盤の保護を行います。

支持力と沈下の両方を確認する

地盤が破壊しないだけでは十分ではありません。許容できない沈下や不同沈下が生じると、構造物の機能や安全性に影響します。そのため、基礎形式の検討では支持力と変形の両方を考えます。

杭基礎|深い地盤へ荷重を伝える

杭基礎は、地中へ設けた杭を通して構造物の荷重を地盤へ伝える基礎です。表層の地盤が軟弱な場合や、構造物の荷重が大きい場合などに用いられます。

杭は一本だけで使うとは限りません。複数の杭をフーチングで一体化した群杭として使うことも多く、杭一本の性質だけでなく、杭同士や周辺地盤との相互作用も考慮します。

支持杭と摩擦杭|支持機構の違い

種類主な支持機構覚え方
支持杭杭先端を良質な支持層へ到達させ、先端支持力などで荷重を支える深い場所の強い層へ荷重を届ける
摩擦杭主に杭周面と地盤との摩擦力によって荷重を支える杭の側面で地盤に荷重を伝える

実際の杭では、杭先端の抵抗と杭周面の抵抗がともに働きます。「支持杭」「摩擦杭」という区分は、どの支持機構を主に利用するかを示すものとして理解しましょう。

負の周面摩擦力に注意する

杭周辺の軟弱地盤が圧密沈下すると、沈下する地盤が杭を下向きに引きずることがあります。これが負の周面摩擦力です。杭を支える上向きの摩擦力とは反対に、杭へ追加の下向き荷重として作用するため、支持力や杭体応力などの検討が必要です。

試験対策:「周面摩擦力は常に杭を支える」と覚えないこと。周辺地盤が杭より沈下すると、下向きに作用する場合があります。

既製杭と場所打ち杭|施工方法の違い

比較項目既製杭場所打ち杭
つくる場所工場などで製作した杭を現場へ搬入する現場で孔を掘り、鉄筋かごとコンクリートで築造する
代表例既製コンクリート杭、鋼管杭アースドリル、リバース、オールケーシング、深礎
主な長所杭体の品質を確保しやすく、打込み杭は施工速度も速い大径に対応でき、杭長の調整や掘削土による地層確認がしやすい
主な注意点運搬・保管時の損傷、建込み、継手、打止めなど孔壁の安定、スライム処理、鉄筋かご、コンクリート打込みなど
周辺環境打込み工法では騒音・振動への配慮が必要一般に打込み工法より騒音・振動を抑えやすいが、泥水・排土処理が必要

既製杭の主な工法|打込み・埋込み・回転杭

打込み杭工法

杭をハンマなどで地盤へ打ち込む工法です。施工速度が速く、打止め管理などによって支持層への到達や施工状況を確認します。一方、騒音や振動が生じるため、周辺環境への配慮が必要です。

埋込み杭工法

あらかじめ地盤を掘削し、既製杭を設置する工法です。中掘り杭工法やプレボーリング杭工法などがあり、打込み杭より騒音・振動を抑えやすい特徴があります。掘削、根固め、杭の設置など、採用工法に応じた施工管理が重要です。

回転杭工法

先端部に羽根などを持つ鋼管杭を回転させて地盤へ貫入する工法です。施工時の回転量、貫入量などを確認し、定められた施工管理方法に従って支持層への到達を管理します。

場所打ち杭の主な工法|孔壁をどう守るか

場所打ち杭では、掘削した孔が崩れないようにしながら所定の深さまで掘り、孔底を処理してから鉄筋かごを建て込み、コンクリートを打ち込みます。各工法は、主に孔壁を安定させる方法が異なります。

工法孔壁を安定させる主な方法主な特徴
アースドリル工法安定液回転バケットで掘削する。孔壁と孔底の管理が重要
リバース工法孔内水水頭差で孔壁を安定させ、掘削土を循環水とともに排出する
オールケーシング工法ケーシングチューブケーシングで孔壁を保護し、ハンマグラブなどで掘削する
深礎工法土留めなど孔内で掘削・土留めを行う。作業時の安全管理が特に重要

杭基礎の施工管理|記録で確認する

杭は施工後に地中へ隠れるため、施工中の確認と記録が重要です。設計図書や施工計画、採用工法に従い、次の項目などを管理します。

  • 杭の種類、径、長さ、位置、杭頭高さ
  • 建込み時の鉛直性や偏心
  • 支持層の深さと土質、掘削・貫入状況
  • 継手、根固め、孔底処理など工法ごとの施工状況
  • 場所打ち杭の鉄筋かご、コンクリートの品質と打込み状況

既製杭では、施工性と管理方法を確認するため、あらかじめ試験杭を施工します。場所打ち杭では、孔底にたまるスライムを適切に処理し、コンクリートへ土砂や安定液を巻き込まないよう連続して打ち込むことが大切です。

試験で間違えやすいポイント

誤解しやすい考え方正しい整理
杭基礎は杭先端だけで荷重を支える杭先端の抵抗と杭周面の抵抗を利用する
周面摩擦力は必ず上向きに働く地盤沈下により負の周面摩擦力が下向きに作用することがある
直接基礎は支持力だけ確認すればよい沈下、滑動、転倒なども確認する
場所打ち杭は工場製品なので品質が一定である現場で築造するため、掘削からコンクリート打込みまでの管理が重要
打込み杭は周囲へ影響しにくい騒音・振動や地盤変位など周辺への影響に配慮する

過去問3問で確認|どこを見れば判断できる?

以下は、1級土木施工管理技術検定で実際に出題された問題から、設問の一部を短く抜粋し、選択肢の内容を学習用に要約したものです。

最初に自分で答えを考え、その後に「解答と解説」を開いてください。

令和6年度・問題A No.17|基礎形式

過去問題からの抜粋

「道路橋下部工における各種基礎形式に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。」

  1. 摩擦杭は、長期的な鉛直変位を検討して必要な根入れを確保する。
  2. 支持杭は、杭先端を支持層へ必要な深さまで根入れする。
  3. 直接基礎の底面は、支持地盤へ密着させる。
  4. 直接基礎が滑動するときのせん断面は、床付け面の深い位置に生じる。
解答と解説を開く

正解は4です。滑動時のせん断面は床付け面に近い浅い位置に生じます。そのため、床付け面を過度に乱さないことが重要です。

令和7年度・問題A No.19|場所打ち杭

過去問題からの抜粋

「場所打ち杭工法の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。」

  1. オールケーシング工法では、天端の低下を考慮し、流動性の低いコンクリートを使う。
  2. コンクリート打込み中は、ケーシング先端をコンクリートへ必要な深さまで入れる。
  3. リバース工法では、泥水循環と一次孔底処理によりスライムを処理する。
  4. スタンドパイプ内の掘削を先行させすぎると、地盤を緩めるおそれがある。
解答と解説を開く

正解は1です。場所打ち杭のコンクリートには、鉄筋かごやケーシング内へ確実に充填できる流動性が必要です。「流動性の低い」が誤りです。

令和4年度・問題A No.12|直接基礎

過去問題からの抜粋

「道路橋下部工における直接基礎の施工に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。」

  1. フーチング底面は、支持地盤とのせん断抵抗を発生させないように処理する。
  2. 底面に突起を設ける場合は、処理層を貫いて支持層へ十分に入れる。
  3. 砂地盤では、整地した基礎底面に栗石や砕石を配置する。
  4. 岩盤では、ある程度の不陸を残し、均しコンクリートを施工する。
解答と解説を開く

正解は1です。直接基礎の底面は支持地盤へ密着させ、滑動に抵抗するせん断抵抗を十分に期待できるよう処理します。

まとめ|荷重・地盤・施工方法の順で整理する

  • 直接基礎は、基礎底面から比較的浅い地盤へ荷重を伝える。
  • 杭基礎は、杭先端と杭周面を通して深い地盤へ荷重を伝える。
  • 支持杭と摩擦杭は、主に利用する支持機構による区分である。
  • 既製杭は工場製作、場所打ち杭は現場築造という違いがある。
  • 工法ごとに、支持層、鉛直性、孔壁、孔底、コンクリートなどの管理点が異なる。

基礎工は、名称だけではなく「どこで荷重を支えるか」「どのように施工するか」「何を管理するか」を一組にして覚えましょう。

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